優しい約束のコーヒーショップ

今日、コーヒーショップへ豆を買いに行った。今月末の閉店が決まっている店で、今の家に引っ越してきてから2年ほど通った大好きな店だ。

店のご主人は70代のロック好きなおじいさん。わたしもロックが好きなのと、父の影響で往年のロックスターも少し知っていたこともあって、ロックの素晴らしさについてよく話をした。買った豆をひいてもらう間や淹れてもらったコーヒーを飲んでいるときに、ゆったりとした空間と良い香りのなかでするロック話は、いつも最高だった。

おじいさんは今月末に店をたたんで、息子さんの暮らす東北へ引っ越してしまう。向こうでの暮らしが落ち着いたら、また小さなコーヒーショップをやりたいんだそうだ。それはきっとまた素敵なお店になるんだろうなぁと思った。

寂しくなりますね、と言うとおじいさんは東北へ行ったことがあるかと私に尋ねた。わたしは、行ったことがないと答えた。

そしたらおじいさんは、また同じ名前でコーヒーショップを開いてホームページをつくるから、たまにお店の名前を検索してみて、と言った。検索してみてヒットしたら、気が向いたら旅行でおいで、と。なんてふんわりした優しい約束だろう。ちょっとほっこりしたけどやっぱり寂しくて、私は、今はインスタやTwitterがあるよ、と伝えてみたけれど、あまりピンときていないようだった。このままではきっとホームページだけを開設するだろう。

あと何度かはお店へ通うつもりだから、インスタやTwitterの良さを伝えようと思う。けど、リアルタイムじゃなくふと検索してみるホームページの約束も、なんだか素敵な気がしてきた。