実家の押し入れを開けたとき、奥のほうから重たい木箱が出てきました。ふたを開けると、そこには母が若い頃から使っていた古いミシンが入っていました。表面には細かな傷があり、金属部分も少しくすんでいましたが、見た瞬間に母がそのミシンに向かって座っていた姿を思い出しました。
母は昔から手先が器用で、私たち兄弟の服が破れたときには、夜遅くまで針仕事をしていました。学校の体操服に名前を縫い付けたり、カーテンの裾を直したりする姿は、今でもはっきり覚えています。ただ、晩年は手を動かす機会も減り、ミシンは何年も使われないまま押し入れにしまわれていました。
母が亡くなった後、私はそのミシンを自宅に持ち帰ろうかと考えました。しかし、かなり重量があり、置く場所もありません。試しに動かせるか確認しようとしましたが、電源コードの状態も分からず、無理に触るのはやめておきました。思い出があるからといって、すぐに自分の家へ持っていけるわけではないことに気づきました。
押し入れの中には、ミシン以外にも布地や糸、裁縫道具が大量に残っていました。小さな箱の中には、使いかけのボタンや色とりどりの糸が入っています。ひとつひとつを見ると母の生活が感じられましたが、全てを保管するとなると現実的には難しい状況でした。
姉と相談し、まずはミシン本体と母がよく使っていた裁縫箱を残すことにしました。布地や道具については状態を確認しながら、引き取れるものがあるか親族にも声をかけました。それでも押し入れ全体の荷物は多く、家族だけで運び出すには時間も体力も必要でした。
その頃、片付けの進め方を考える中で高松市で遺品整理の事ならリアライフ香川へという情報を知りました。すべてを任せると決めたわけではありませんが、荷物の搬出や分別など、自分たちでは難しい作業について相談できる先があると分かり、少し気持ちが楽になりました。
最終的に、母のミシンは姉が保管することになりました。今すぐ使う予定はないものの、無理に処分せず、置ける場所を確保して大切に残すことにしたのです。遺品整理では、思い出の品をすべて残すことも、すべて手放すことも正解とは限りません。家族の生活や保管場所を考えながら、これからも残したいものを選ぶことが大切なのだと感じました。
